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2025.7.2
行事
銭函海岸清掃2025 ― 私たちがここに立つ理由と、メーカーとしての誓い
いつもお世話になっております。北一化学営業の橋本です。
先日行われた銭函海岸清掃についてまとめてみました。
是非ご一読いただけると嬉しいです。
プロローグ:2025年6月14日、特別な一日の始まり
2025年6月14日、土曜日。
朝の光が窓から差し込む頃には、その日の空気がいつもと違うことに誰もが気づいていました。
初夏を通り越し、真夏を思わせるほどの強い日差し。気温は29℃。
銭函の海へと向かう道すがら、車の窓から流れ込む風は、潮の香りと共に確かな熱気を運んできます。
この日は、年に一度の「銭函海岸清掃」の日。
しかし、今年はどこか違いました。
集合場所にはすでに地元テレビ局HBCのカメラが待機し、活動の始まりを待っています。
高まる高揚感と、良い意味での緊張感。
これは単なる恒例行事ではない。
私たちの想いが、地域の願いが、テレビという電波に乗って多くの人に届くかもしれない特別な一日。
そして、私たち北一化学株式会社が「なぜこの場所に立ち続けるのか」その覚悟を改めて示す日になる。
そんな予感を胸に、私たちはいつも見慣れた変わらぬ景色とは反する決意と共に海岸へ足を踏み入れました。
第一章:光と影が織りなす砂浜 ― 銭函の海岸が映し出す現実
一見すれば、銭函の海岸はどこまでも美しく穏やかです。
キラキラと光を反射する波、広大な砂浜、どこまでも続く青い空。
子供たちが裸足で駆け回りたくなるような、平和な光景が広がっています。
しかし、一歩足を踏み入れ視線を落とせばその光景は一変します。
美しい砂の中に、まるで悪意あるモザイクのように散らばる無数のゴミ。
波に洗われ角が丸くなった色とりどりのプラスチック片。
休日をここで楽しんだ誰かが置いていったであろう、バーベキューの炭や花火の残骸。
太陽の光を鈍く反射する、割れたガラス瓶。
そして、釣り人が残した釣り糸は鳥や海洋生物の命を脅かす静かな罠となります。
さらに砂を掘り返せば、原型を留めないポリバケツや、どこから流れ着いたのか想像もつかない古タイヤまで姿を現します。
これらは、私たちの便利な生活が落とした「影」の断片。
この美しい海岸は、現代社会の縮図を静かに、しかし克明に映し出していたのです。
第二章:210名が奏でる協奏曲 ― 汗と笑顔の活動記録
「それでは、始めましょう!」
銭函工業組合の方の力強い号令と共に、210名を超える人々が一斉に動き出します。
それはまるで、一つの目的のために集ったオーケストラが壮大な協奏曲を奏で始める瞬間のようでした。
額に汗を光らせながら、慣れた手つきでゴミを拾い集めるベテランの社員。
友達と競い合うように、しかしその眼差しは真剣そのものである地域の学生たち。
そして、何よりも私たちの心を打つのは、小さな子供たちの姿です。
弊社からも参加した3人の子供たちは、砂浜にしゃがみこみ、宝物でも探すかのように小さなプラスチック片を一つ、また一つと拾い上げていきます。
「こんなにあったよ!」と、満杯になったゴミ袋を誇らしげに見せるその笑顔は、この活動が持つ未来への希望そのものでした。
重たいタイヤが見つかれば、自然と周囲から人が集まり、「せーの!」の掛け声で力を合わせる。
HBCのカメラは、そんな協力の輪や、子供たちのひたむきな姿を捉えていたかもしれません。
しかし、そのレンズに映らない場所でも、無数の小さなドラマが生まれていました。
「去年もお会いしましたね」「今年はすごい人数だね」。そんな会話が、地域に暮らす人々の絆をより一層強くしていくのです。
約一時間半後。あれほど砂浜を覆っていたゴミは、うず高く積まれたゴミ袋の山へと姿を変えました。
その圧倒的な量に言葉を失うと同時に、ゴミがなくなった砂浜の、本来の美しさに息を呑む。頬を伝う汗が、心地よい達成感に変わる瞬間でした。
第三章:メーカーとしての誓願 ― 私たちがプラスチック問題から逃げない理由
なぜ、私たち北一化学株式会社が、これほどまでにこの活動に情熱を注ぐのか。
テレビ放送では、きっとそこまで深くは語られないでしょう。
だからこそ、この記事で私たちの想いの核心をお伝えしたいと思います。
私たちは、北海道を拠点とする包装資材メーカーです。
主力製品の一つは、皆様の生活に欠かせないポリ袋。
会社から車をわずか5分も走らせれば、今日の活動場所である美しい銭函の海が広がっています。
この距離感は、私たちにとって単なる物理的な近さ以上の意味を持ちます。
近年、海洋プラスチック問題は世界的な課題となり、ポリ袋はその象徴として厳しい視線を向けられることも少なくありません。
「ウミガメがポリ袋を誤食する」というニュースは、私たちの胸を締め付けます。
製造者として、この問題から目を背けることは、自らの存在意義を否定することに等しいのです。
**批判から逃げるのではなく、技術で未来を創造する。**
それが私たちの答えです。
実は、私たち北一化学株式会社は、北海道で唯一、微生物の力で水と二酸化炭素に分解される「生分解性ポリ袋」を製造する技術と設備を持っています。
これは、環境負荷を低減したいという強い想いから、長年の研究開発を経て実用化した私たちの誇りです。
この海岸清掃は私たちにとって贖罪ではありません。
美しい地元の海を、自分たちの手で守り抜くという**「義務」。
そして、プラスチックを扱うメーカーとして、その行く末まで見届けるという「責任」**。
その覚悟を行動で示す場なのです。子供たちに「お父さんたちの会社は、地球をきれいにする仕事もしているんだ」と胸を張って言える企業でありたい。
その一心で、私たちは毎年この砂浜に立つのです。
エピローグ:夕景の海に寄せて ― 私たちの未来への約束
清掃が終わり、人々が去った後の海岸は一層太陽を浴びて黄金色に輝いていました。
日中の清掃の賑やかさが嘘のような静けさの中、打ち寄せる波の音だけが優しく響きます。
達成感と共に、心地よい疲労を感じながら帰路につく社員たちの表情は一様に晴れやかでした。
この記事を読んでくださっている皆様。
特にHBCの放送をきっかけに私たちを知ってくださった皆様へ。
テレビが伝えたのは、この感動的な物語のほんの一部分かもしれません。
その背景には、地域を愛する一人ひとりの想いと、一企業としての私たちの揺るぎない哲学があります。
北一化学株式会社は、これからも事業活動と環境保護の両立を真摯に追求し続けます。
そして、この美しい銭函の海を守る活動を未来永劫続けていくことをここに誓います。
もしこの想いに共感していただけたなら、ぜひ来年この砂浜でお会いしましょう。
一緒に汗を流し、未来への希望を語り合える日を心から楽しみにしています。
PS:今年の海岸清掃の思い出にきれいな貝殻を物入れにしてみました。
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